大切な人を亡くした悲しみはどう癒す?グリーフケアの考え方と心の回復方法

大切な家族や友人、パートナー、家族同然のペットとの別れは、人生の中でも最も大きな悲しみの一つです。

「もう元気になれない気がする」
「時間が経っても涙が止まらない」
「周囲は前を向けと言うけれど苦しい」

そのような気持ちになることは決して珍しいことではありません。

大切な人との死別による悲しみや喪失感に寄り添い、心の回復を支援する考え方を「グリーフケア」といいます。

今回は、グリーフケアとは何か、そして悲しみとどのように向き合えばよいのかについてお伝えします。

大切な人を亡くした後に起こる心と身体の変化

このような体験の後、悲しみからなかなか立ち直れず下記のような症状が出てしまう方がいます。
感情面

  • 強い悲しみ
  • 怒り
  • 後悔
  • 自責感
  • 孤独感

身体面

  • 不眠
  • 食欲低下
  • 倦怠感
  • 集中力の低下

行動面

  • 人と会いたくなくなる
  • 涙が止まらない
  • 何もする気が起きない

これらは異常ではなく、多くの場合、自然な反応です。

グリーフとグリーフケア

これらは悲嘆反応(グリーフ)と呼ばれるもので、誰でも起こりうる当然の反応であって悲嘆にくれること自体は全く問題ありません。
一般的には時間の経過とともにだんだんと辛い現実を受け入れていくようになるものです。
ところが、悲嘆から立ち直る過程がうまく進まず、長い時間がかかって日常生活に支障をきたしたり、仕事が手につかなくなったり、鬱病や身体の病気を引き起こしたりする場合は専門家によるグリーフケアが必要になります。

悲しみを癒すために大切なこと

ではこのような場合はどうしたら良いのでしょうか

①悲しみを無理に消そうとしない

悲しみは「早く忘れなければならないもの」ではありません。まずは「悲しいのは当たり前」と悲しむことを認めてあげることです。
悲しいというのは故人との絆が強かった証拠です。早く立ち直らなければ、と焦ったり悲しみを抑えようとしないことです。

②感情を表現する

感情を何らかの形で表現することが大切です。
友人に話を聴いてもらったり、日記に書いたり、個人の思い出を語り泣き悲しむことでカタルシス効果が得られ楽になれるのです。

③自分を責めすぎない

死別後には、「あの時こうしていれば」という後悔が生じやすくなります。

しかし多くの場合、その時点では最善を尽くしていたはずです。

後悔の気持ちも自然な悲嘆の一部であることを知っておきましょう。

④一人で抱え込まない

カウンセリングを受けるのも一つの方法です。カウンセリングではナラティブセラピーという方法もあります。人は誰でも自分の物語を作って生きています。ところが大切な人がいなくなるということはその物語の重要な登場人物が突然いなくなることです。
だからカウンセラーの力を借りながら現実を受け入れ、前向きに意味づけることができるようにその物語を書き替えていく作業が必要になります。
具体的には辛い体験を語ることで自分を納得させ、他者にも理解してもらい、その喪失体験に意味を見出していけるようにしていく、またそのプロセスを通して喪失と折り合いをつけていくことです。

注意すべきグリーフの症状は?

今みてきたように、グリーフの症状は自然なものです。

ただし、次のような場合は注意が必要です。

①あまりにも悲しみの度合いが強かったり
②鬱の状態が酷い場合、自分も死にたいなど自殺を考えるような場合
③辛さを忘れるためにアルコールや薬物に走る場合
④身体病など健康が脅かされているような場合

このような場合は、医療機関への相談を検討しましょう。


人が成長してくプロセスには、「別れの積み重ね」が必要不可欠です。人はさまざまな別れと悲しみを経験して成長していきます。

大切なのは、悲しいことや辛いことを忘れるのではなくその辛さや悲しみを受け入れて、さらにそこに新しい意味を見出していくことなのです。

 監修・執筆

 阿久津 まどか (あくつ まどか)

心理カウンセラー/産業カウンセラー/中災防 心理相談員

一般社団法人APC応用心理教育研究所 理事

APC付属心理相談室 室長/講師

日本女性心身医学会会員

臨床経験25年 カウンセラー養成実績8000名以上

専門は女性のメンタルヘルス、家族間コミュニケーション

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カテゴリ:コラム